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顧客管理とは? 〜顧客管理の基本を学ぼう〜

顧客管理はいかなるビジネスにも欠かせないものです。ビジネスを成功させようと思ったら、まずは顧客管理と言っても過言ではないでしょう。

顧客管理のポイントを押さえ、マーケティング活動や営業活動に顧客管理を活用することで、ビジネスを成功に導きましょう。

1.顧客管理とは

顧客管理とは、顧客の氏名や住所といった基本情報や売上などの情報を「管理」をすることのように思えます。しかし、顧客管理は、顧客情報そのものを管理することだけではなく、顧客との「関係」を管理(マネージメント)することが重要なのです。

顧客管理では、顧客情報に加え、顧客の購買履歴、マーケティング活動の反応、サポート状況、訪問時の状況まで様々な情報を記録するようになってきました。

1-1.顧客管理システム(CRM)

顧客管理を実現するためのシステムはCRM(Customer Relationship Management)と呼ばれています。

CRMでは、顧客の購入や利用の履歴、セミナー参加や展示会来場の履歴、営業訪問履歴やクレーム・意見などの顧客の活動履歴や、年齢、性別、地域、性格や好みなどの顧客情報も管理します。

CRMは顧客の基本的な情報に加えて、企業と顧客との「関係」も記録します。

1-2.顧客管理システムの動向

従来、顧客管理は、自社にシステムを導入して各企業のビジネスの仕組みや業務フローに合わせるため、開発導入やカスタマイズに高額な費用がかかっていました。そのため、大手企業を中心に顧客管理が定着していました。

最近では、顧客管理もクラウドサービスで利用が可能になり、インターネットのスピード向上、スマートフォンなどの端末の普及、セキュリティの改善により、顧客情報をクラウドサービスで管理する企業が増えています。

クラウドサービスを用いるコストダウンにより、顧客管理をはじめる中小企業が急速に増えています。

2.顧客管理が注目される理由

今では、顧客管理をしていない企業の方が少なくなってきました。そして顧客管理をするということは、単に顧客情報を管理するだけに留まりません。

我が国の人口は、2008年をピークに減少が始まっています。国立社会保障・人口問題研究所によると、推計で総人口は2060年に8674万人に減少し、参考推計では2110年に4286万人になるとしています。

これは、年平均でおおよそ90万人ずつ減少している計算になります。90万人とは現在の世田谷区の人口より少し多い人数です。つまり毎年、世田谷区が1つずつ無くなっていくような計算になります。

このような人口減時代に突入した今、地方は、社会保障は、子育ては、働き方は、どのようになっていくのでしょうか。そして、ビジネスにおいては、お客様の情報がいかに大切となるかは、誰でもが想像できる事と思います。

顧客管理の情報は、企業独自の他にはない宝物なのです!

2-1.新規顧客の獲得コストが上昇している

人口の減少、少子化、インターネットの普及による情報の氾濫などにより以前に比べて新規顧客の獲得コストが大きく上昇しています。

電話営業をかけても、飛び込み営業をかけても、以前に比べて、担当者に取り次いでもらえる確率は、おおきく減りました。

そのため、企業では過去の商談やいただいた名刺の情報を蓄積して顧客情報を管理をするようになりました。顧客管理によって蓄積された情報を活用しながら、セミナーや展示会の申込みフォームや資料のダウンロードなどの情報を提供して、新たな営業案件を自社の力で探す必要が出てきています。

顧客創造のために顧客管理は重要となりました。

2-2.顧客管理で過去の失注案件から今の新規案件を探せる

顧客管理は、顧客との接点の記録や管理だけでなく、それらのデータを活用して顧客を同じニーズや性質を持つ固まり(セグメント)に分け、各セグメントの行動パターンや顧客ニーズにあったサービスやソリューションなどを提供し、購買額を高めたり、他社に対する優位性を築いたり、中長期的な顧客との関係を高めるための施策も行うになりました。

顧客を分類すると、ある製品の顧客とセグメント内容が似ている他の見込み客にその製品を提案するなど、顧客情報を活かした営業活動も可能になります。

より多くのお客様に製品やサービスを購入していただくだけでなく、1件のお客様により多く購入してもらうためにも顧客管理は重要です。さらに顧客管理を行うことより顧客満足度の向上にもつながり。

失注からの情報管理も顧客管理の重要な役割です。

2-3.顧客管理の情報を分析して経営に役立てる

顧客管理は、顧客に関するいろいろな情報を蓄積分析することにより、営業活動を効率的に改善できるだけでなく、今後の売り上げ状況の予測から経営に関する重要な情報を得ることができます。

受注や失注の要因を詳しく分析することにより、自社の製品やサービスの改善にもつなげることができます。

また、顧客管理を通じて商談の状況を管理していれば、今後の売り上げ見込みが予想できます。この数字をもとに、増員や設備の新設など経営リソースの先行投資に関しても経営判断の助けになります。

顧客情報の分析は、売上拡大や顧客満足の向上につながります。

2-4.顧客管理はここがポイント

顧客管理を行う目的は、顧客情報を蓄積管理し分析することで、顧客との関係を構築するだけではなく、顧客のニーズや性質や価値観を理解して、自社の売り上げを長期的に最大化することです。

事業拡大をねらう企業では、規模の大小に関係なく、顧客管理の導入は必要不可欠です。

3.マーケティングにおける顧客管理の活用

顧客管理をしっかりと行えば、売上げアップにつながる質の高いマーケティングの実現につながります。

3-1.企業マーケティングでは、顧客管理が重要になる

最近は、いきなりお店に行きその場で決断し購入するといったお客様は減りました。インターネットなどの情報で入念に調べてから、来店したり、連絡をとってきます。

企業側のマーケティング活動では、お客様のこのような購買行動の変化に対応するため、インターネットを活用したマーケティングが必要になってきました。

その結果、ある見込み客が購買に至るまでに、最初の接触からクロージングまでに、見込み客への接触回数が増えています。

今では、獲得した見込み客が営業案件に至るまでに必要なコミュニケーション(接点)数は7回程度であると言われています。

3-2.顧客情報から購買行動でセグメンテーションする

見込み客との接点では、見込み客の行動履歴などから嗜好や具体的なニーズによってセグメンテーションし、最適なアプローチを行うことが重要です。

そのためには、マーケティング活動においても顧客管理が必要不可欠となります。

マーケティング活動では、見込み客のニーズを把握して、適切なタイミングでアプローチすることが大切です。

見込み客のニーズの把握には、Webやメールのお知らせやアンケートへの反応などの行動履歴が重要です。この行動履歴を確りと記録すれば、見込み客のニーズがしっかりと分かるようになります。(このような管理を自動的に行うマーケティングオートメーションというシステムが便利)

3-3.顧客管理によって無意味な広告を減らせる

自分には必要のない情報が詰まったメールやDMが届くといった経験は皆さん良くあることと思います。中には有用な情報もあるかも知れませんが、迷惑な気持ちが先にたち廃棄してしまう方も多いかと思います。

これは、顧客リストの全てに、あるいは地域ごとに分類した全てに対して一斉に配信、郵送しているものと想定できます。無駄なことです。

確かにメールの配信は、DM郵送やFAXと比べると安価です。しかし、このように配信したメールは、受信者から不要だと思われればオプトアウト(配信停止要求)されてしまいます。その後は、この見込み客に営業やマーケティングの目的で、メールでの連絡をとることができなくなってしまいます。

顧客管理システムを活用して、過去の見込み客との接点を分析して、購買段階やニーズに合わせた情報を提供していれば、見込み客にとって有益な情報が届くはずです。ピンポイントでタイムリーな情報提供は、見込み客の購買意欲を一気に高める可能性があります。

企業にとっては広告宣伝費用が削減でき、見込み客にとっては有益な情報のみがタイムリーに届くので、双方に多くのメリットが期待できます。

3-4.顧客管理を活用したマーケティングが営業活動を効率化する

マーケティング活動の中で、購買意欲の高まった見込み客は、マーケティング活動から営業活動へと引き継がれます。

営業活動では、顧客管理システムに蓄積された基本情報(住所・会社名・役職・名前など)に加え、Webへのアクセスやアンケートやキャンペーンへの反応などの行動履歴から、見込み客の嗜好やニーズを推測できます。

見込み客へ接触する前に、必要な資料を揃えたり、会話の内容を考えるなどの準備を行えば、営業活動のクロージング率は高まります。

アップセル(より高いグレードの製品をお勧めして販売すること)のための資料や会話の準備ができれば、当然、売上アップや成約率の向上にもつながります。

4.顧客管理システムの導入で検討すべきポイント

顧客管理システムは、マーケティングの分野において、必須と考えられるようになってきました。

顧客管理システムにはさまざまな企業のさまざまな要望があります。

その中で、マーケティング効果や売上のアップにつながる顧客管理システムの導入時に検討すべきポイントをまとめてみました。

4-1.顧客管理で獲得元が明確に分類できるか?

顧客管理システムで見込み客の名刺などにある基本情報(住所・会社名・役職・名前など)以上の情報(嗜好やニーズ)が活用できると、売上アップにつながるような質の高いマーケティングが実現できます。

以前は獲得した顧客の名刺情報の全てにメールを一斉配信するマス型のマーケティングが主流でした。しかし、受信者のニーズと配信内容が合わなければ即座に受信拒否されてしまい、その後コンタクトができなくなります。

そのため現在では、獲得した見込み客をセグメンテーションしてニーズに合わせたコンタクトをするようになりました。

見込み客のニーズの把握は、見込み客獲得の際の行動履歴がヒントになります。

メールやフォームからの問い合わせの場合、その内容から見込み客のニーズは推測できます。また、問い合わせフォームにアクセスする前に閲覧していたWebページにもニーズのヒントが隠されています。

ある製品の特定の機能を見て、デザインを見て、など直前に見てそのまま問い合わせフォームにアクセスした場合などは、直前に見たWebページがニーズに大きく関係する可能性があります。

また、セミナーや展示会への来訪も、そのテーマに興味があり接触しています。ここには明らかにニーズの情報があります。

顧客管理システムでは見込み客の基本情報だけでなく、見込み客の獲得元(どの様な経路で獲得したのか)も明確にできれば、見込み客の嗜好やニーズに合わせたマーケティング活動が行え、売上アップにもつながり、見込み客失うこともありません。

4-2.行動履歴を記録し、可視化が可能か?

顧客管理システムで、見込み客を基本情報(業種、役職、住所など)で分類してマーケティング活動を展開しても、営業活動につながる見込み客を獲得することは難しくなっています。

今では、顧客の行動履歴が重要となっています。

ある見込み客にメールを送り、その中にあった「製品A」のリンクがクリックされたとします。その顧客は「製品A」のページを見た後で、近くにあった「製品B」のリンクをクリックします。そして、「製品B」に関する事例や料金やよくある質問までいろいろとクリックし、じっくりと閲覧していたとすると・・・。

この見込み客が「製品A」に関心があることは直ぐに分かります。しかし、最後まで行動を記録しないと「製品B」に関心があることは分かりません。どちらかというと、この見込み客は「製品B」に強い関心があるように思えます。

このような見込み客を取りこぼさないために、詳細な行動履歴を記録し、可視化できることが重要になります。

4-3.見込み客の行動履歴がリードナーチャリングで活用できるか?

リードナーチャリングとは、見込み客(lead)を育成(nurturing)して受注に結びつけるプロセスの管理手法のことです。

リードナーチャリングでは、ステップメールのように自動的に情報を送信するよりも、見込み客の行動履歴等を活用し、見込み客が今、どの様な状態にあるのかを確かめながら慎重に情報を提供することが重要になります。

興味や関心がある情報をタイムリーに見込み客に送るため、宣伝が多く含まれていても「ちょうど探していた情報だったので助かります。」と感謝されることもあるようです。

また、逆にリードナーチャリングによる見込み客の反応が、顧客管理システムの行動履歴として保存されることも必要となります。

4-4.営業活動の効率を改善するための情報が提供できるか?

顧客管理システムが、すぐに営業活動すべき見込み客を適切に抽出できれば、マーケティング活動が営業活動を加速できます。そのためには、見込み客の基本情報(属性情報や接触情報)の外に、見込み客の行動履歴を記録することが必要となります。

記録された見込み客の行動履歴から、その見込み客の購買意欲や興味関心の度合いを数値化できれば、今すぐ営業活動をすべき見込み客の抽出が容易になります。

また、その行動履歴から潜在的なニーズが把握でき、アポ取りの接触前に会話の組み立てを考えたり、必要な資料を準備したりと、営業活動を確実にクロージングするための準備が可能となります。

4-5.優先して取組むべきマーケティング活動を見いだせるか?

顧客管理システムから、見込み客を分類します。

例えば、顧客管理システムの多くの見込み客はキャンペーン等には反応している自社には関心を持ってもらえている見込み客にも関わらず、今すぐ営業すべきホットな見込み客が少ない場合、ホットな見込み客を増やすためのマーケティング活動をすべきです。

関連する製品の情報を送ったり、値引きキャンペーンの情報を送ったり、いろいろなマーケティング活動が考えられます。

顧客管理システムから、マーケティング活動の優先順位を決定できれば、営業機会を増やし、売上アップにも貢献ができるようになります。

4-6.顧客管理システムは十分に使いやすいか?

顧客管理システムの機能も大切ですが、操作性や運用の簡単さといった「使いやすさ」もシステムを選ぶ上で重要な要素になります。

顧客管理システムを導入するために、セミナーを受講したり、マニュアルを読み込まなくてはならないと、金銭的にも労働力的にも、大きな負担となります。

顧客管理システムは、操作が直感的に分かるような工夫のされたものを選ぶと良いでしょう。

4-7.まとめ

顧客管理システムは顧客を管理するだけではなく、マーケティング活動を強化する目的で選ぶ必要があります。そのためには、見込み客の情報に加えて行動履歴は必須条件となります。

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